by design or by chance?

私が中学3年生のとき、午後のねむい授業に外の景色を見ながらうとうとしていると、枯れた木の枝の細い先端に、結構なスピードで滑空していた鳥が、見事にふわりと着陸したのをみて、あまりの感動に眠気が一気に吹っ飛んだことを今でもはっきりと覚えています。

鳥はいったん舞い上がると,回ったり向きを変えたりしながら風に乗って楽々と上ってゆきます。
翼や尾の角度をわずかに調整するだけで,体をほとんど動かさずに空中を飛び続けます。
そのように優雅で完璧な動きが取れるのは、羽に負うところが少なくありません。
鳥類は現在,羽毛のある唯一の動物です。ほとんどの鳥は数種類の羽を持っています。
いちばん目につくのは,重なり合っている正羽です。
この羽により,鳥はなめらかで空気力学的に優れた形になります。
正羽には,飛行に欠かせない風切羽と尾羽が含まれます。
羽のデザインは実に見事です。羽軸と呼ばれる中心の軸は,しなやかで驚くほど強靭です。
羽軸からは,互いにかみ合う羽枝の列が伸び,なめらかな羽弁を形成しています。
羽枝は,幾百もの小さな小羽枝によって互いにくっつきます。小羽枝は一種のファスナーのように,近くの小羽枝と組み合わさります。
小羽枝どうしが離れると,鳥は羽繕いをして,たやすく元どおりにつなぎ合わせます。
翼の風切羽は特に非対称な形で,羽弁は前縁のほうが後縁より狭くなっています。
飛行機の翼によく採用されているこのデザインのおかげで,一つ一つの風切羽はそれ自体が小さな翼のような働きをします。
さらに,大きな風切羽をよく見ると,羽軸の裏側に1本の溝があるのが分かります。
このシンプルなデザインによって羽軸の強度が高まり,曲がったりよじれたりしても折れてしまわないようになっています。

鳥の羽 その1 おわり

豊田